性交とは、男女が性器を結合させる行為のこと。すなわち、男性器を女性器に挿入する行為である。交合、交接ともいう。
一般的には、性的な行為全般を総称して「性行為」という。性行為には、生殖のために営まれる行為はもとより、性的快楽を求めるために行われる性器の愛撫、口腔や肛門を使用する行為、同性間で行われる行為なども含まれる。その中で特に異性(男女)間の性器の結合を伴う営みを「性交」という。したがって「性交」という場合には挿入が欠かせないが、「性行為」としては、必ずしも挿入をしなくても構わないことになる。
日本の法律においては、「刑法」第22章(「強制わいせつ罪」「強制性交等罪」等)に関する規定の中に、「性交」に関する記述が見出せる。刑法第22章第177条では、「性交」と「肛門性交」および「口腔性交」を総称して「性交等」と呼んでいる。つまり、膣へ挿入する行為が狭義の性交であり、かつ、肛門や口腔を用いる行為も「性交」に準じた行為と位置づけられている。
なお、「性交」は、もっぱら人間の性的営みを指す語である。人間を除くあらゆる生物の生殖行為は、霊長類であれ魚類であれ昆虫であれ、基本的に「交尾」と呼ばれる。交尾の他に「交接」と表現される場合もある。
さて、人間の性交は、それこそ人により千差万別である。標準的な方法が決められている訳ではない。そこで各自自由に行えば良いのであるが、「自由」であるとされると、果たして自分のやり方が許容されるものであるのか、あるいは上手下手に分けると、極めて劣悪なものとされてしまうことはないのかといった不安に襲われることがないとも限らない。それでいてなかなか他人には相談しにくいという面が強い。そのに、余計なものとは言え指南書が生まれる余地が出来る。星の数程さまざまなものが生み出され、それこそ記された内容は千差万別である。中には、明らかに信用出来ない者もある。そんな中に、江戸時代から伝わる体位の種類を表したものとして体位の「四十八手」がある。春画からはじまったものと言われている。四十八手というのは相撲の四十八手からとったものだが、実際には48種類以上の体位がある。もちろんこれとても、たいして信頼出来る内容とは限らないが、もともと「正解」のない世界の産物である。言うなれば、まあまあ増しなものと言えるものではないかと思われる。
江戸時代からある四十八手には「表」と「裏」があり、合わせると96手もあることとなる。そのため、正確に言うと96種類以上、体位の種類が存在していることになり別名、100手とも言われている。
これらの体位の中には現実的でないものも含まれているが、体位の手本として尊重されてきたことに違いはない。また、「体位」として示されたものの中には、挿入をするのではない「性行為」にあたるもの、いわゆる「前戯」や「後戯」とされるものも含まれている。次にそれぞれの体位を、「愛撫」「口唇」による挿入しないものと、挿入とはいえ、上下前後の十三の体位の別を図解しつつ、説明を加えることとする。
もともと「決まり」や「正しさ」を教える性格のものではないため、参考にしつつ、自分(たち)なりの心地よさを追求するための三校に出来れば良いと感が得るのが良いと思われる。そのためにも、「性交」の方法として、古くから言われてきたことを三校に知るため、どのようなことが記されているか見てみることにしよう。
*(1)寄り添い
「寄り添い」は、挿入をしない体位である。2人で横になり、男性が女性に寄り添いあってスキンシップをとりあうこの体位。挿入する体位というよりも愛撫の姿勢である「寄り添い」は、前戯や後戯に使うことになる。服を着ていても裸でも構わない。脱がずに始めることで、脱がせる楽しみが、気分をいっそう盛り上げる結果をもたらすかもしれない。また、挿入しないでの快感を追求することで、「寄り添い」が、未知の快楽の扉を開いてくれるきっかけになるかもしれない。「寄り添い」は挿入の技術ではないが、セックスの雰囲気作りのステップとして重視すべきである。その意味で重要な「技」と言える。がつがつしたセックスと違い、スローセックスとの共通点も窺えよう。
(2)鶯の谷渡り
「鶯の谷渡り」は、口&唇のみを使った愛撫のこと。男性が、仰向けに寝ている女性の身体を鶯のようについばんで移動して、体中を愛撫していく体位。どこをどのように愛撫するかに、特に決まりはない。鶯になったつもりで、あっち、こっちをチュンチュンと移動して、盛んにさえずりながら、女性の気持ちいい場所を探す。「寄り添い」と「鶯の谷渡り」は、挿入する技術でもなければ、体位でもないが、ラブタイムの満足感を左右するほど欠かせない愛撫の行程である。しかし実際にはほとんど省略されてしまいがちとなっている。女性は、男性に抱きしめられたり愛撫されたりすると「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌され、幸福感に包まれると言われている。時間を掛けて愛撫を入念にし、全身が性感帯となるように仕向けることによって、男性自身の挿入時にも興奮が高まるとされている。
本来決まった手順はないが、スタートを唇とし、熱いキスの後、あごの崖を飛び越えて、二つの山が連なる乳房に移動する。そこを念入りに愛撫した後、いよいよへその窪地にたどり着き、脇腹の傾斜地をたどり、本命の花園に達する。女性の期待に反して、一度本命の花園は飛び越えて、鼠径部のくぼみや豊かな太ももの先にある小高い膝、そして足を回って再び期待に濡れる花園を目指すといいのではないだろうか。女性の側は、男性の頭を期待の場所に導こうと押しつけつつも無理強いも出来ずに、思うに任せない悪戯な小鳥の後を追うように男性にしがみついてくるに違いない。
*(3)立ち花菱
「立ち花菱」も、挿入をしない体位。女性が仰向けになり、そのまま脚を上げ、広げた両足の間に男性が潜り込んでクリニングスをする。両足を大きく広げることで女性の羞恥心を倍増させることも出来る。パートナーにしか見せない秘密をみられる恥ずかしさと、それでいながら十分に気持ちよくなってしまう自分自身に何とも言えない気分に包まれる体位である。このとき、女性の腰の下などに枕やクッションなどを入れないと、女性に負担が大きい体位である。入れたクッションが、自分の体位を楽で心地よくするのだが、同時にそれがクンニされやすい体勢を作っている元と知れば、羞恥心がいっそうかき立てられるに違いない。他方男性側からすると、女性の秘密の花園をたっぷり愛撫しながら、同時にうっとりとした女性の表情を眺めることが出来ることになる。互いにより刺激を受けやすくなり、快感度がグッとプラスされるに違いない。
*(4)岩清水
「岩清水)」とは、いわゆる顔面騎乗位(顔面騎乗でのクンニ)。これもまた挿入をしない体位である。四十八手の中には挿入をしないで、クリニングスをする体位が三つある。「立ち花菱」「鵯越えの逆落とし」と並んでクリニングスのみなのが「岩清水」である。違いは、岩清水以外は、女性が横になるのに対して「岩清水」のみ、女性がいわゆる「顔面騎乗位」の体位となる所にある。女性が膝立ちの状態になるため、特に愛液がしたたりやすくなる。流れ出る清水を、舌でどう舐めとってもらえるかが気持ち良さの分かれ目ということで、その名の由来もここにあるようである。顔にまたがるなど普段ではしない行為で、女性の羞恥心を激しく刺激し、新鮮な興奮も高まるので、マンネリで悩んでいるカップルには特にお勧めと言える。愛液の分泌量は、女性の快感のバロメーターの一つともなり得るかもしれない。また一概にそうは言えないにしても、女性の側からすると、愛液を大量に出してしまっていることが、非常に感じていると誤解されるのではないかという思いが、余計に羞恥心をかき立てる効果があるに違いない。
(5)鵯越えの逆落とし
「鵯越えの逆落とし」も挿入をしない体位の一つ。女性が床にうつ伏せになり、手をつくようにして足をあげ、男性はその足を支えるようにして、開かせながら顔を股間にうずめ、クンニを行います。まるで断崖絶壁のようになった女性のカラダを舌で責めるのは、背後の崖を一気に駆け下りて平家を驚嘆させた牛若丸そのものである。
名前の通り、奇想天外で、通常では予想もしない戦法に打って出た牛若丸の名に恥じない、何ともアクロバティックで、奇抜な体位で行うクリニングスである。
四つん這いになった女性の背後から、男性が女性の両足を両肩に載せて、そのまま男性が膝立ちの姿勢で、座りながらクリニングスをするものである。女性は床に両手をつき、それだけで体を支えることになる。余程体力がない限り、両肘を床につくのが自然である。女性の両足を肩に載せた男性も、それでは女性の足を十分に広げられないので、肩から下ろして、より大きく広げた女性の足を、両手で支えながら、より深くクンニすることになる。力もいる上、バランスを取るのも大変である。しかし、女性は体がどこにも触れずに空中にあるため、男性の愛撫に完全に集中できることになる。ただ、たとえ肘をついても体を支えるのは大変である。「何もこんな姿勢でやらなくてもいいのではないか」と思ってしまうことが多いようだ。牛若丸は、たいへん小柄だったということだが、もしかすると相手の女性が極めて小柄で軽量な人でないと出来ないのかもしれない。
(6)雁が首
* 「雁が首」とは、ズバリ、フェラチオのこと。「雁首」という鬼頭の俗称がそのまま四十八手の名前になったものだ。雁が首のほかにも、「尺八」「千鳥の曲」「ハーモニカ」などという呼び名があり、古今東西好まれているオーラルセックスそのものだ。男性は女性に奉仕される喜びを感じる。普段は口にくわえるなどということはしない性器を女性の口にくわえてもらうことは、女性の奉仕の気持ちや女性に対する征服感が刺激されるのである。女性側はある程度のテクニックも必要になってくるので、事前にテクニックを磨いておくと一層良くなる。
「雁が首」も「千鳥の曲」も、どちらも男性が仰向けで横になって、女性がフェラチオをするのは同じスタイルだ。違うのは、女性の位置で、「千鳥の曲」では女性が男性の横に座ってフェラチオするのに対して、「雁が首」では、女性が男性の股の間に入ることになる。
では、女性の位置が違うだけの両者にどんな違いがあるのか。正面の股の間からフェラチオス「雁が首」の場合、男性からも女性からも御互いがより見やすい位置関係にある。男性側からすると、女性のフェラチオする顔をよく見ることができ興奮度が高まる。女性側からすると男性の反応をよく確かめながらフェラチオすることが出来、その上ペニスの裏側や玉袋、太ももを持ち上げて裏側や肛門まで、愛撫しやすくなる。また、両手でペニスを持つことも出来るが、敢えて手を使わずにフェラチオして、空いた手で胸や尻などほかを愛撫することも出来る。
*(7)千鳥の曲
「千鳥の曲」は、「雁が首」同様に挿入しない体位。フェラチオをメインとした女性側からの愛撫を言う。一般には前戯として行われる。「雁が首」では、横たわった男性の両足の間に入った女性が、フェラチオに特化して愛撫するのだが、「雁が首」では、仰向けになった男性の横で正座をした女性が、音を立てて男性器を口でかわいがりながら、手は乳首などを弄ぶ。その姿がまるでお琴を奏でているような姿だったことからのネーミングである。男性もまた、横にいる女性を手を使って愛撫できる。
その方法が二つある。一つは、女性が正座を少し崩して、お尻を男性の顔の方に向けると、女性のデリケートゾーンを男性が愛撫しやすくなる。もう一つは、ペニスを口に含んだり周辺を嘗めている女性が、顔を傾けて男性からよく見えるようにする。するとペニスを愛撫している女性の顔や表情がよく見え、男性の興奮はいっそう高まることになる。ここからシックスナインの体位である「二つ巴」にも移行しやすくなる。
*(8)二つ巴
「二つ巴」は、69(シックスナイン)のことである。基本的には女性上位だが、横になったスタイルでもOK。男性が上になるシックスナインは、「椋鳥」という。それぞれが行うクンニやフェラに比べると、同時に御互いがしあうのは、快楽に集中しにくいけれど、他方で最も刺激的で官能的なスタイルである。これも股実際に挿入はしないので、前戯となる。ただし、前戯の最後に近い、挿入直の前戯と言ってもいいだろう。
まず、男性が横たわり、女性は男性の顔にお尻を向けてまたがり、上半身を倒すと「二つ巴」となる。女性にしてみれば、自分の最も恥ずかしい部分を相手の男性の顔に埋めることとなり、羞恥心が非常に刺激されるはずである。ただ、実際には身長差があって思うようにかなかったり、女性がフェラチオをしようとすると、男性の顔から膣が遠ざかってしまうなど、同時にクリニングスとフェラチオをするのは難しいことが少なくない。刺激的な体位である割には、行為に集中しにくいことが珍しくないのだ。口だけでなく手を使ったり、枕を下に敷くなどをうまく使い、相手を気遣って、相手が十分に気持ちよくなるように心遣いをするなど、互いに一体感を味わおうとすることにも価値があると言える。
*(9)椋鳥
「椋鳥」は、69(シックスナイン)で男性が上になるバージョンのこと。女性が仰向けに横たわり、男性が女性の上になり、お互いが頭と足を逆方向にして組み合わさり、お互いの性器を愛撫し合う。ただし、男性は習性でついつい腰を動かしてしまいがち。そのためシックスナインの体位としては、女性が上になる「二つ巴」の方がオーソドックスだとされている。
「椋鳥」の姿勢では、男性は女性の股の間に顔を埋めるようにしなければならず、女性も目の前にあるペニスが口からあごの方へ勃起するので、ただでさえフェラチオがやりにくくなるうえ、ついつい動いてしまう男性の習性も加わって、あまり多用されない体位となってしまっている。
それでもこの体位が残されているのは、この体位ならではの魅力があるからである。それは、仰向けになって横たわった女性が、足の膝を少し曲げて、足を少し開く。上になる男性は、女性の口の辺りにペニスの付け根が来るようにして、女性にまたがる。そのまま体を前に倒して、女性の開いた足の間に顔を埋めると、この体位ならではのハードな愛撫が可能になるのだ。
(10)しめ小股
* 「しめ小股」は、伸長位の一つ。正常位の形で女性が仰向けになって横たわり、太腿と太腿をギュッとくっつけるように足をからませる。この時両足首を交差して足が開かないようにするのがポイントだという。男性は、仰向けの女性の上に被さるようにしながら、太ももの隙間からペニスを差し込む体位である。女性の太ももをかき分けるようにペニスを差し込み、膣に挿入するが、この時男性は立ち膝の状態で上半身を起こしていても、女性に抱きついて両膝を軽く曲げた蛙のような姿勢になっても良いという。挿入は浅い体位だが、ピストンをする時に女性が太ももに力を入れると膣圧がアップし、男性は非常に強い挿入館が楽しめる。「気持ちいいでしょ?」と男性自身を締め上げることができる。そして、「締め小股」は男性をギュッと締めるのと同時に、女性のクリトリスにも刺激が伝わる。ピストン時にクリトリスが陰茎でこすれる快感と、膣内の快感を同時に楽しめるからだ。更に女性は、足をぴんと伸ばした姿勢でいるので、オーガズムに達しやすくなるという。気持ちよくなりながら、彼を「まいった!」と思うほど気持ちよくさせることが出来るという。
「しめ小股」は、セックスの終盤に向いている体位だという。「正常位」や「時雨茶臼」「百閉」などの騎乗位から移行するとスムーズだといわれる。女性主導気味の体位で疲れ気味になった女性を横にさせて休ませつつ、「しめ小股」で高い膣圧によって男性は自分も気持ちよくなりながら、女性をいたわることが出来るという。
*(11)しがらみ
「しがらみ」とは、「断ち切りたくても断ち切れない関係」といったような悪い意味で使われることが多い言葉だが、四十八手のなかでは、「何時迄も離れられない男女の体」といった意味が込められている。
「しがらみ」は、正常位の一種。女性が横たわり、男性は女性の太もも当たりにまたがり、ペニスを挿入する。男性が挿入した後、女性は足を閉じたままの状態で、男性も女性に抱きつくように体を密着させることによってこの体位になる。女性の太ももが閉じた状態なので、膣に力を込めやすく、ペニスをぎゅっと締め上げるような高い膣圧が特徴である。足先をからませれば中がキュッとしまって、男性には堪え難い快楽が得られる。挿入は浅めだが、男性側には締め付けが伝わり、御互いの足を絡ませたり、密着したままキスしたり、愛の言葉を交わすなど、文字通り愛の鎖で縛られたかのような状態を味わうことが出来る。2人の全身の密着感で愛情をたっぷり味わいたいものだ。
(注)「しめ小股」は、足を閉じた女性が、太ももを締め付けて膣圧を高める「テクニック」を指すのに対して、「しがらみ」は、「しめ小股」の姿勢になった女性の上に男性が覆い被さり、男性も足をまっすぐにして抱き合う「姿勢」を指している。
(12)こたつ隠れ
「こたつ隠れ」とは、こたつを囲んで向かい合わせに座ったまま、天板の下で繋がりあうという悪戯めいた体位。上着はそのままに、下半身はコタツの中に脱ぎ捨てて、外見はコタツを挟んで見つめ合う男女にしか見えない。見つめあって行えば恥ずかしさもあってドキドキ気分が味わえる。男性の大切な部分を足で愛撫して色っぽさを積極的に演出すれば官能映画の主役気分。「気づかれるかもしれないというスリルと興奮は、セックスを盛り上げるのに十分である。ただし夢中になりすぎて、ヤケドしないように気をつける必要がある。 「コタツ隠れ」の姿勢は、一般的な対面座位と同じである。コタツの大きさは、一般的な大きさのコタツではなく、1~2人用の小さなものがふさわしい。男女で向かい合い、天板を挟んで、御互いに上半身を後ろに倒して後ろ手に手をつき、対面座位の姿勢で挿入することになる。この姿勢での挿入は、ペニスが膣口に対して下から上に突き上げる形になり、対面座位の姿勢で挿入することになる。
普通の対面座位であれば、ベットの上でも十分可能だが、コタツの中でセックスするというスリルと興奮こそがこの体位の持つ意味だと言える。
(13)達磨返し
「達磨返し」は正常位の1つ。仰向けになった女性が太ももをピッタリと閉じ、男性が女性の太ももを抱きかかえた状態でペニスを挿入するというもの。この脚を折りたたむことがポイントで、こうするとペニスを膣に深く挿入することができるのだ。これを更に進めると、縄を使って女性の両脚を縛って固定するというパターンもあり、膣の中がさらにギュっと締まる。
つまり、「だるま返し」は、縄で女性の足を縛る、ソフトSMの要素が刺激的な態度なのだ。縛り方のポイントとして、女性が足を開けず、膝を伸ばせないように縛ることにある。男性は、女性を縛り、体の自由を奪うことで加虐的な興奮が得られ、女性は体を縛られ、一方的に攻められることに被虐的な興奮が楽しめるとされる。
男性が女性に覆い被さるようにして上下にピストンすれば、深く重厚な挿入感が楽しめる。この時、女性の両膝と胸がくっつくほど体が丸まって、達磨のようになる。更に、この体位では女性の足が閉じているため、膣圧も高くなり、深い挿入感と膣圧の高まりにより、快感は更に高まるとされる。
(14)
「深山」は、屈曲位の一つ。正常位の姿勢から女性の両足を男性の肩に載せるというもので、正常位からはスムーズに移行可能である。女性の足をV字に開き、高く持ち上げたまま、男性は奥深くまでインサートする。女性が足首を、男性の首の後ろで交差させると足が閉じやすくなる。すると膣圧が高くなり、しかも膣とペニスの角度を合わせられるので、ポルチオを簡単に刺激できる。女性からは見にくいけれど、男性からは繋がっている部分が丸見えとなる。男性が女性の太ももあたりを両手できつく抱くようにすれば、密着感が増し、激しいピストン運動も出来る。深い挿入感を感じられ、強く突かれたときは奥への衝撃を感じられる。
※「ポルチオ」とは、子宮頸部の内で膣に突出した部位の名称。ポルチオ性感帯とも呼ばれる。女性器 の内敏感な性感帯である「クリトリス」「Gスポット」と並ぶものとされる。膣の最も奥深くにあり、 所在が必ずしも明確とは言えないGスポットとは違い、産科では「子宮膣部」と呼ばれて、古くか らその存在が確認されている。ピンポン球のような形状をしているものである。
(15)つり橋
「つり橋」は腰高位とも呼ばれ、正常位の状態から、女性の胴を空に浮かせて、男性に両腕で腰を支えて持ち上げられた体位である。男性が膝立ちになり、その男性の姿が、「つり橋」のようであることからネーミングされた体位。男性の腕力が必要で、女性も腕だけじゃなく、腹筋と腰の力で支えることが必要となり、非常にアクロバティックな体位である。「つり橋」は四十八手の中でもアクロバティックな体位で、吊り橋を短時間だけ取り入れて正常位のアクセントとしてチャレンジするのが現実的。ただし、深い挿入感があり、女性にはベッドシーツとの摩擦など余計な刺激もなく、ペニスの挿入による開館に集中できる体位だといわれている。
「吊り橋」は正常位の変化形とも言える体位で、正常位から吊り橋への流れが無理なくスマートである。まず、正常位の状態から男性が女性の腰やお尻に手を回して、持ち上げる。女性の腰が持ち上がったら、女性は両ヒジを立てて上半身を支えれば吊り橋の姿勢になる。
女性の足はやや開いて、足に力を入れすぎないことがポイント。姿勢を維持しようと両足でも自分の体重を支えようとしてしまうと、足の筋肉が硬くなり、深い挿入感を邪魔してしまう。男性は女性の腰を持ち上げるので、女性の下半身を支える腕力が必要。さらに上体を起こしてピストン運動するには腹筋と背筋も酷使するので、男性もまた全身への負荷が強い体位である。男性にとっては、まさに腕の見せどころ。吊り橋で女性を気持ちよくさせることができれば、たくましさと強さをセックスを通してアピールできる。ただし、そうは言っても、吊り橋を続けられるのは30秒から1分がいいところだろう。
(16)松葉崩し
四十八手といえば「松葉崩し」というイメージがあるほど有名な一手。松葉の枝が交差するようにお互いの足をからめあわせてインサートする体位。交差位と呼ばれる足を交差させる体位の一種。
「松葉」とは松の葉のことで、V字型をした針状の針葉樹だ。このV字の葉を下半身に見立てて、向かい合って交差する形になることから「松葉崩し」と呼ばれるようになったという。
まず女性が横向きに寝そべり、片足を揚げる。男性は女性が揚げていない足の太ももにまたがり、膝立ちの状態になって挿入する。女性のおしりも太ももも開いた状態なので、深い挿入が出来る。ほかの体位では刺激されにくい膣壁の側面を刺激できるので、いつもとは違った快感が得られる可能性が生まれる。
男性は正常位と同じ姿勢なので、ピストンしやすく、そのたびに女性の太ももに接触する玉袋からも刺激を受ける。手を使って女性への愛撫もしやすい体位である。女性にとっては、男性のリズミカルなピストン運動と交差位ならではの深い挿入によってポルチオが刺激され、人気が高い体位であることから、四十八手の代表的な体位となっている。
御互いの負担も少なく、初心者でも楽しめる体位であり、正常位から後背位に体位を入れ替える途中に取り入れることによって、続けて快感の強い体位を味わうことができる。女性の片足を男性が持ち、角度や深さを調節しながら気持ちのいいツボを探すのがこの体位のお楽しみポイント。ピストン運動をするのではく、奥までインサートしながらグリグリしてみましょう!
(17)テコがかり
「テコがかり(梃子がかり)」は、男性上位のシックスナインから女性のつま先方向に移動して挿入する、難易度の高い体位。「たち松葉」と並んで、四十八手の中で最も難しい体位とされている。
仰向けになった女性の上に、うつぶせの男性が覆い被さって、シックスナインの体位になる。この時男性の頭は女性のつま先に、女性の目の前には男性の足が来るようにする。うつぶせになった男性は、勃起したペニスを手で下に押さえつけながら挿入する。この時のペニスが柔らかいと挿入が出来ず、難すぎるとペニスを押し下げる時に痛みを感じることになり、勃起の状態も問題となる。膣の角度とペニスの角度が反対で挿入しにくく、さらに挿入の深度が浅いためかなりアクロバティックな体位になる。この体位は、いつもの挿入とは反対になっているので、普段とは違う挿入感と気持ちよさを味わえる。
(18)机がけ
「机がけ」は、「壽本手」から男が足を引いてひざをつき完全に腰を下ろす形。「網代本手」や「足絡み」にとりながら男が両手を床について肘を伸ばし、足を伸ばし気味にし上半身を女から離して向かい合う形。「網代本手」とは、女が仰向けになりひざをまげて足を開いた間に男が割って入る、最も標準的な正常位のことである。「足がらみ」は、「網代本手」から女が男の腰や胴に両足を絡みつける体位である。男は跪いた状態で、腰を下ろして体を安定させる。仰向けになった女の股に割って入って挿入し、、抱え込んで責めるということになる。
(19)千鳥
「千鳥」は、正常位の一つ。女性が足を閉じて男性が挿入する体位は、四十八手に四つある。「締め小股」「しがらみ」「茶臼のばし」とこの「千鳥」である。どれも女性が足を閉じることで膣圧が高まり、男女ともに性器に心地よい圧迫感が得られる。その中でも千鳥」は、最も難易度が高い体位である。
まず女性が正座の姿勢になり、次に足を折りたたんだまま、上半身を後ろに倒して仰向けになる。男性は女性の太ももに膝立ちでまたがり、ペニスを挿入する。膝を折って仰向けになった女性に、正常位の形で男性が挿入するのだが、下になった女性に充分気をつけないと、男性が押し潰してしまうことになりかねない。かなり女性の柔軟性を必要とするスタイルなので、無理をせぬように。女性はクリトリスがこすれる快感、男性はギュッとしまった感覚を味わえる。とはいっても、長時間のラブタイムは体に負担がかかるので禁物。
(20)後ろ櫓
「後ろ櫓」とは、いわゆる立ちバック(後向女性俯伏位)のこと。女性は立った状態で、前にある壁や窓枠に両手をつける姿勢になり、男性は立ったまま突き上げるように挿入する。「櫓」とは、砦や城の城郭に設けられた見張り台のことで、窓際から外に向けて男性が後ろから挿入するスタイルは、まさに窓から外を見張るかのようである。
「後ろ櫓」をしている男性の視点は、「鵯越え」のように、女性を見下ろす状態になり、ピストンによってゆさゆさと揺れる女性の体は、男性の官能的な気分を盛り上げる。さらに、二人共立った状態なので、トイレの中や洗面所など狭い場所やアウトドア時のHでも代表的な体位になっている。上着を脱がず、スカートやワンピースをまくり上げたり、ショーツだけ下ろして挿入することも出来るので、着衣セックスとして、男性の征服欲を刺激したり、女性のM的な興奮を誘うことができる。この体位は、男性の征服欲や支配欲をかき立て、女性の被虐的な間脳を刺激するなど、存分に2人でイマジネーションを働かせるのが気持ちよくなれるコツといわれる。
(21)越え
「鵯越え」は後背位の一つ。女性が四つん這いになり、男性は女性の背後から挿入する体位。要するにバック(後背位)の姿勢である。基本的な体位で挿入も簡単、ピストンも簡単、愛撫もバリエーション豊富で、楽しみ方は限りなくたくさんある。とても自由度の高い体位のため、「こんな姿になるともっと気持ちいいかも」「こうしたら相手の負担が軽くなるかも」といった試行錯誤の果てに、新しい発見が出来るのもこの体位の醍醐味だ。
まず女性が四つん這いになり、少し足を開く。男性が女性の背後からペニスを挿入する。基本はこれだけのため、さまざまな工夫が可能だということである。しかし、動物の交尾と同じ体位で、男性は野性的な征服欲を、女性は恥ずかしさを感じながら快感を得られる体位でもある。ペニスの挿入角度も自由に変えられ、女性が中で感じやすい体位である。
「鵯越」は、兵庫県神戸市にある山の通称で、歴史上は、鵯山の断崖を背に布陣した平家が、まさか断崖絶壁から攻撃されることはあるまいと油断していた隙を突いて、源義経(牛若丸)が、馬で崖を駆け下りて奇襲攻撃を仕掛け、平氏を背後から急襲し、勝利を収めたという伝説で知られている。無謀と思われる作戦を成功させて源氏を勝利に導いた義経伝説であり、武勇伝となっている。「鵯越」とは別に、「鵯越の逆落とし」という体位があり、こちらは思いも寄らないアクロバティックな体位で、女性を後ろから責め立てる、クリニングスのみにも拘わらず、男女共に腕とバランス感覚が要求される、非常に過酷な体位があるが、全く別物である。
(22)碁盤攻め
「碁盤攻め」は、後背位の一種で、もともとは女性が碁盤に手をついて、男性が後ろから立位で挿入する体位。碁盤の代わりに、なにか身の回りにある適当な台を利用することになる。というより、台などなくても女性が手を突いて腰を曲げられる場所ならどこでも出来る体位なので、廊下でもトイレでも、椅子やテーブルのあるリビングでも、どこでも楽しめることになる。
四十八手には、立位は他に「後ろ櫓」「仏壇返し」がある。これら三つの違いは、女性が手を突く位置の違いだけである。壁に手を突くと「後ろ櫓」、床に手を突くと「仏壇返し」であり、碁盤に手を突くのが「碁盤攻め」である。言い換えると、女性の腰のかがめ方、かがめる角度の違いとも言える。「碁盤攻め」のバリエーションとしては、「ベットの縁」「椅子やテーブル」「便座」「バスタブの縁」「下駄箱」「ベランダの手摺り」「車のボンネット」「旅館の部屋の中」「空き地や工場の片隅」といった具合に、家の中から玄関やベランダ、外に至るまでどこでも出来ることになる。他人に見られそうなスリルを味わうことも可能となる。まさに、男性は見た目による興奮度が高まり、女性は征服されているように感じになり、刺激度の高い体位といえる。
*(23)仏壇返し
『仏壇返し』は、後背位の一種で、女性が上半身を折り曲げて床に手をついたところに、男性が後ろからイン!女性は「はっけよい」をするように足を肩幅程度に開くと安定する。体が硬くてキツい人は無理がある体位と言えるが、男性側には服従感があり、なかなか刺激的なスタイルといえる。
「仏壇返し」は、立位の後背位であり、々立位後背位の「碁盤攻め」が場所を選ばずにどこででも楽しめ、「後ろ櫓」が女性にすれば一番無理のない姿勢で行えるのに対して、床に手を突かなければならないのが「仏壇返し」である。三つの中では女性の負担が最も大きいことになるが、その分野性味溢れる体位で、男性の支配欲を刺激する力は、一番強いと言える。
女性は立った状態から、床に両手を突いて前屈した状態になる。体が硬い場合は、膝を少し曲げ、両足を開くと良い。男性は女性の後ろから挿入してピストン運動をする。女性の腰の位置に合わせて、膝を曲げて高さを調節する。両手で女性のお尻や腰を掴んで、女性が体勢を崩さないように支える。最も激しく突き出された女性の姿勢やお尻に欲望が刺激される。
(24 )燕返し
「燕返し」は、後背位の一つ。俯せになった女性は片方の足を、男性の補助を借りながらグイッと上に持ち上げ、開いた股に男性が挿入する体位。男性が女性の片足を後ろに持ち上げるため女性には柔軟性が要求される。Vの字に女性の足が開くので挿入が深く、男性は腰が動かしやすい正常位の姿勢が取れる。そのため緩急、強弱、ストロークの長短、ペニスを挿入する角度などを自在に調整しながらピストン運動が出来る。挿入もピストン運動も簡単な上、深く迄挿入することが出来るので、初心者にも出来る体位である。加えて「松葉崩し」と相性が非常に良く、女性が寝返りを打つだけで体位を変えられる。本来「正常位」から「後背位」へ姿勢を変えるのは難しいが、「松葉崩す」と「燕返し」を挟むことで、動きも少なく自然に、しかもペニスを挿入したままでも行えるようになる。
仰向けの女性が片足を揚げて挿入するのが「松葉崩し」で、うつぶせの女性が片足を揚げて挿入するのが「燕返し」だ。どちらも片足を揚げるために、女性の体が少し斜めになる。この斜めになったせいで、「松葉崩し」から「燕返し」への移行が簡単にできるようになるのである。そこで、「前戯」→「正常位」→「松葉崩し」→「燕返し」→「後背位」といった流れが容易に出来ることになる。
*(25)抱き上げ
「抱き上げ」は、後背位の一つ。腕立て伏せの姿勢になった女性の両足を膝立ちの男性が抱え上げて挿入するアクロバティックな体位である。男性には、女性の両足を持ち上げたまま、ピストンに合わせて揺れる女性の体を支えるだけの腕力が要求され、女性には上半身の体重を支えつつ、ピストンの揺れに対してバランスを取るだけの筋肉と体幹が要求される。男女共に、かなりの筋力、体力、精力が要求される体位である。
男性にとっては、実際の快感以上に、難しい体位をこなしているという自負と優越感、自尊心や達成感が満たされることが大きいだろう。女性にとっては、宙に浮いた状態で、互いの性器の接触のみに集中しやすい条件が揃い、興奮を充分味わう条件が満たされている。とはいえ、相当に困難な体位であることは間違いない。
バックスタイルの態勢から、そのまま男性が女性の両足をぐいっと持ち上げたかたちで、女性は床に肘をつき、男性は膝をついているのが「押し車」との違いだ。膣口を支点としたテコの動きのイメージで動かす。男性の腕力次第で、深い挿入ができるか、浅くで終わるかの分かれ道となる。
(26)押し車
「押し車」は、後背位の一つ。体操などでする手押し車の体制で、男性は女性に挿入して、そのまま前方向に移動する。じっとしているのではなく、練り歩くのである。ペニスが抜けないように注意をしながら、女性は腕立て伏せのような体位をキープする。挿入しながら男女が練り歩くので、ピストンはしない太ももの筋肉が締まるので、膣の締まりがよくなり、男性の快感に繋がるが、男女共に相当な体力を消耗するため、快感を味わうどころではないかもしれない。
男性は、四つん這いになった女性の両足を持ち上げる。女性は両手を伸ばして上半身を支え、腕立てのような姿勢になる。この時男性は「捲き上げ」と違って、膝立ちするのではなく、立ち上がったままの姿勢を保つ。この姿勢を保つだけでも大変だが、ここから男性が女性を押して前に進むのが「押し車」である。女性は両手を足のように動かして前に進むことになる。男性は、前に進みながらも女性に挿入したペニスが抜けてしまわないように気をつけなくてはならない。
(27)立ち松葉
「立ち松葉」は、「松葉崩し」の立位バージョン。寝て行う「松葉崩し」を立って行うのが「立ち松葉」である。立ち松葉は四十八手の中でも1~2を争う難易度で、その見た目は珍妙そのもの。ピストンのしやすさや快感の強さよりも、難易度が高くスポーティーな体位にチャレンジする男女の達成感やアクロバティックな姿勢でセックスをしている優越感を満たすものといえる。
まず女性が仰向けになって足を伸ばしてリラックスする。次に男性が立った状態から女性の両足首を持って、上に引き上げる。すると女性は逆立ちのような姿勢になり、女性は手を広げてバランスを取らざるを得ない。女性は寝転がっての自転車漕ぎのエクササイズ状態なので、そうとうハード。男性は女性の足を開いて、女性の股の間にまたがる。そのままペニスを下に押し下げて、膣に挿入。そして男性も女性の足を支えつつ、腰を動かしつつなので、バランスを崩して転ばないよう要注意だ。女性も頭が下になるので、頭に血が上り、長時間続けることは難しい。かなりアクロバティックな体位なので、バランスに注意しながらトライしてみよう。
(28)獅子舞
「獅子舞」とは、対面座位の一種で、「狂ひ獅子」とも言われる。男女が向かい合って座り、二人とも後ろに手をついて身体を支えながら、女性は男性の肩に足を置く。柔軟度が必要な苦しい姿勢になった女性を支えるのは、男性の腕力のほか、勃起力も大きな要素。この「獅子舞」はうまくいけば、膣がギュッと締まるので、男女ともに深い挿入感と下半身の密着感を楽しめるのが特徴で、男性にとっては嬉しい体位だ。
一般的な対面座位の姿勢から「獅子舞」に移行するのは難しい。一般的な正常位からの移行が望ましい。正常位の状態から女性の両脚を男性の肩にかけて、男性が女性を抱きかかえながら体を起こせば、そのまま獅子舞の姿勢になる。女性の両脚を男性の肩にかけた状態の正常位である「深山」から獅子舞に移行すれば動きに無駄がない。
(29)首引き恋慕
「首引き恋慕」とは、女性が男性に股がるような形で対面座位になり、女性が男性に、男性が女性に、もしくはお互い同時に首に縄をかけながらインサートする体位。本当にこれをすると、実際には危険であまり勧められはしない体位だ。好奇心旺盛でも、十分な注意が必要。
男女の首にヒモをかけて対面座位をすれば首引き恋慕の姿勢になる。首にヒモをかけるだけと思ったら大間違い!この首にかけたヒモは、ただ二人の距離を近づけるだけのものではない。まず第一にソフトSMとして楽しめること。首にヒモをかけることで、軽く拘束される状態になる。しかも二人を繋ぐ緊縛プレイというのは珍しい。お互いに上半身の動きが制限されることで生まれるもどかしさが、興奮に変わる。
首引き恋慕で使うヒモにはピストンの勢いをアシストするという隠れた役割がある。お互いの首を固定して、むしろヒモを張りつめるようにお互いに後ろに倒れようとすると、首を支点に上半身が固定されてしまう。この状態だと男性は体を支えられた状態と同じになるので、腰を動かしやすくなる。
男女の首につながれたヒモは、お互いの絆と愛情の象徴。抱きしめあい体を密着させるのもよし。ヒモが張りつめるほど、あえて体を離して勢いのあるピストンを楽しむのもよし。いずれにしても二人が快楽を求めて体を激しく揺さぶれば、二人の絆とともに繋ぐヒモの結び目も固くなっていく。
(30)帆かけ茶臼
「帆かけ茶臼」』は、騎乗位のアレンジとされているが、実際には対面座位のアレンジバージョンといえる。男性は女性の両足を両腕で支えながら挿入する。女性はできるだけ脚を大きく開いて、男性に協力する。体の固い人には困難だが、お互いに繋がりあっている姿をじっくり見ながら腰を動かせば、恥ずかしさも興奮度も一気に最高潮となる。
名前は、四十八手では騎乗位を茶臼に見立てたことに由来する。「帆掛け茶臼」は女性の片足を男性の肩に乗せるシルエットから、女性を帆に見立てて足を男性の肩に乗せる様子が帆掛けに見えることから名付けられたのだろう。「帆掛け茶臼」は男性の上に女性がまたがる騎乗位のようでもあり、対面して男性主導でピストンを行い、女性は体をななめ後ろに倒した正常位のようでもあり、見た目は対面座位のようでもあるファジーな体位だ。
女性の片足を男性の肩に乗せているため、ピストンは男性主導で行う。男性は女性の下半身との密着感が高く、深い挿入もできる。そして男性の目線からは結合部がよく見えて刺激的だ。
女性の上半身は後ろ手をついて支え、下半身は男性の体に支えられるので、ベッドとの接着面がとても少ない体位だ。 そのためペニスの感触に集中しやすく、ピストンのたびに体全体が揺さぶられるため、激しいセックスをしているかのような錯覚を覚える。
「帆掛け茶臼」はまず、男性が仰向けになる。女性が男性に向かい合う形で、男性の腰の上にしゃがみ込み、ペニスを挿入して騎乗位の姿勢になる。このとき女性は両脚を伸ばした状態になって、片足を男性の肩のあたりに添えて、もう片足は軽く開く。次に男性が女性の腰を抱えながら体を起こし、女性は体を後ろに倒すと同時に、両手を後ろについてバランスをとる。女性の片足が男性の肩にかかった状態になれば、「帆掛け茶臼」の姿勢といえる。
(31)抱き地蔵
「抱き地蔵」は、お互いにギュッと抱き合いながらの対面座位。男性は体操(体育)座りになるか椅子に腰掛けて行う。深い挿入が期待できるだけでなく、お互いに腰を動かせる上、抱きしめあえるという満足度の高い体位だ。女性は男性に強く抱きしめられて幸せを感じ、その密着感を十分に味わえる。
椅子に座る体位には他にも「手懸け」があるが、これは背面座位で女性がピストンの主導権を握る。「抱き地蔵」の「地蔵」は、”動かないもの”に例えられることがあり、女性は男性に体を密着させて男性に抱きかかえられるままにピストンされる。女性は男性にまたがりリラックス。椅子に腰掛けた男性は、女性を力強く下から突き上げるようなピストンをする。
男性が椅子に座って、女性が男性と向かい合う形でまたがって挿入すれば抱き地蔵の姿勢に。男女ともに抱き合えば密着感が高まる。
男性が椅子に座った時、足の裏が床につくくらいの高さが理想的。そうすると、女性の体ごと持ち上げるような力強い腰の動きが可能になる。
(32)本駒駆け
「本駒駆け」は、背面座位の一種で、体操(体育)座りをした男性の上に、女性が後ろ向きで股がってインサートする体位。深い挿入感を味わえ、早いピストンも出来る。そのため、男性は下から突き上げて、女性は男性の膝に置いた手を軸に、駆けるような早いリズムで動ける。花火大会の後、お互い浴衣姿で…なんていうのも風流だ。
「本駒駆け」は背面座位のバリエーションの四十八手の一つ。駒とは仔馬や若く元気な馬のことをいう。本駒駆けは草原を颯爽と疾走する馬のように男性が力強くピストンし、男性にまたがる女性は乗馬をしているかのように体全体が上下に揺さぶられるハードな体位だ。
四十八手の背面座位は他にも「絞り芙蓉」、「乱れ牡丹」、「鳴門」、「手懸」があるが、本駒駆けはこの中で一番力強いピストンができる。この4つの違いは、主導権がどちらにあるかにある。「乱れ牡丹」は男女ともに主導権を取ることができる。「絞り芙蓉」と「鳴門」は女性がピストンを主導する。それに対して「本駒駆け」は男性が主導権を握るためだ。
男女がそれぞれのシーンで活躍できて、お互いが一緒に気持ちよくなれるストーリーができた。背面座位だけで語り合う心と体のコミュニケーションが楽しめることになる。「本駒駆け」は通常の背面座位と同様でとても簡単。座位の姿勢になったら、もっとも大切なことは1つだけ。それは男性が後ろ手をついて、両ヒザを曲げることだ。シンプルなポイントだが、この姿勢になることで若馬のようにパワフルで素早いピストンができるようになる点だ。
(33)しぼり芙蓉
「絞り芙蓉」は、背面座位の一種。座った男性の上に女性が後ろ向きで股がるスタイル。四十八手の背面座位には、「本駒駆け」、「乱れ牡丹」、「鳴門」、「手掛け」、そして「しぼり芙蓉」の5種類のバリエーションがある。「芙蓉」とは葵科の落葉樹のことで、古くは蓮のことを指していた。芙蓉のという慣用句は「蓮のように美しい顔」という意味である。美しく雄大な富士山も芙蓉峰と言われ、芙蓉とは”美しい女性の顔”という意味が定着した。「しぼり芙蓉」とは、女性が精液を搾り取る様子になぞらえて名付けられたようである。つまり、女性が男性を攻める体位として江戸時代の昔から親しまれたのが「しぼり芙蓉」なのである。姿勢だけを見ると「本駒駆け」、「乱れ牡丹」、「絞り芙蓉」の3つはとてもよく似ている。
この3つの違いは男女のどちらにピストンの主導権があるかである。「しぼり芙蓉」では、男性は動きづらいため、上にいる女性のガンバリが必要なのである。その動きに刺激され、男性も後ろから、首すじや耳を唇で責めたり、手で乳首やクリトリスを弄んだりしてくれるに違いない。感じるがままに激しく動いてみよう。
「乱れ牡丹」は美しい牡丹の花を女性に、そして牡丹の隠語であるイノシシを男性に例え、男性も女性も主導権をゆずり合うことができる体位である。「本駒駆け」は走る若馬を意味し、騎乗した女性を男性が激しく揺さぶる馬のようになってピストンする男性主導の体位である。そして女性が男性の精液を搾り取るかのようにピストンするのが「しぼり芙蓉」であり、もちろん女性主導の体位である。
「しぼり芙蓉」は「時雨茶臼」、「百閉」、「流鏑馬」のような騎乗位と並んで、女性が積極的に男性を攻めることができるる数少ない体位の一つである。
「しぼり芙蓉」は通常の背面座位の姿勢と同じ。女性は、座った男性に背を向けてまたがったら、ゆっくりと腰を落として挿入する。この時、一番大切なのが女性が動きやすい姿勢になること。しぼり芙蓉の主導権は女性にあるのだから。
(34)乱れ牡丹
「乱れ牡丹」は、座位の一種。背面座位の江戸四十八手版バリエーションの一つ。座った男性の上に、脚を大きく広げた女性が後ろ向きで座る体位。この体位では、どうしても挿入が浅くなるが、鏡の前で繋がれば、一気に興奮状態になる。男性が後ろから女性の首筋を愛撫し、甘い言葉を囁けば、いっそう効果覿面である。
「牡丹」は花の中の王様の異名を持つ、美しく艶やかな東洋の名花である。なお牡丹は”イノシシの肉”という意味の隠語である。成り立ちは諸説あるが、花札の6月の役にイノシシと牡丹が描かれている事に由来しているとも言われている。さらに牡丹は女性の大切な部分の隠語とされている。牡丹の華やかさや艶やかさを女性に例えるなら、男性は鼻息を荒くしたイノシシ。乱れ牡丹は男性も女性も乱れ狂うことができる官能的な体位といえる。
アクロバティックな体位や珍奇な体位が数多くある四十八手の中で、乱れ牡丹はいたってノーマルな体位の一つ。したがって、数ある体位の中でも満足感、挿入感、密着感、ピストンのしやすさ、愛撫のしやすさ、ほかの体位への移行のしやすさ、どれをとってもトップクラスといえる。しかも騎乗位のように女性がリードしてピストンをしたり、別の体位に誘導することもできる万能な体位。座った男性の上に、女性が背を向けてしゃがみこみ、挿入したら乱れ牡丹の姿勢になる。
男性は両脚を伸ばしても、あぐらをかいても良い。女性は両ヒザをついても、足をついてM字開脚の状態でしゃがみ込んでもOK。女性主導でピストンをする時はヒザ立ちの方が足への負担が少ない。
(35)鳴門
「鳴門」と言えば鳴門海峡の渦潮。四十八手の「鳴門」はまさに、荒々しく渦をまく渦潮のような腰つきで男性を攻める背面座位の体位である。
とは言っても「御所車」のように男性の上で女性がクルクルと回転するわけではなく、背面座位の姿勢で、腰を左右にひねりながら上下のピストンを行うのが「鳴門」だ。
四十八手の背面座位は「本駒駆け」、「乱れ牡丹」、「鳴門」、「手懸け」の4種類がある。その違いは、
「本駒駆け」は男性主導のピストンである。「乱れ牡丹」は男女が主導権を譲り合える体位である。「しぼり芙蓉」は女性主導のピストンである。「手懸け」が椅子の上で行う背面座位なのに対して、「鳴門」は女性主導でピストンを行い、「しぼり芙蓉」とはピストンのアプローチの仕方に違いがある。「しぼり芙蓉」は女性がピストンの強弱、緩急、挿入の角度やストロークの長さを自在に調整してペニスを刺激するのに対して、「鳴門」は「しぼり芙蓉」のピストンに、膣を左右にねじる動作をプラス。「しぼり芙蓉」に変幻自在の腰つきを加えることで「鳴門」に昇華する。高度なピストンのテクニックが求められるので、セックスの上級者向けの体位だが、「鳴門」をマスターすると男性は女性の魅惑的な腰つきの虜になること間違いなしである。
「鳴門」はバックから挿入するタイプの座位。ポイントは上から股がった女性が大開脚を披露しながら、腰を円を描くように動かすこと。それが「鳴門」の渦潮のように円を描くのである。女性は、脚を大きく広げているため、挿入が深くなるのも特徴だ。繋がったまま、どれだけ激しくたくさんグルグルできるかが勝負の分かれ目といえる。
「鳴門」は、まず背面座位の姿勢になる。男性が座り、その上に女性が背を向けてしゃがみこんで挿入する。女性はヒザ立ちではなく、足の裏をベッドにつけてM字開脚の姿勢になると、腰を回転させやすくなる。男性は女性の腰つきの邪魔にならないよう、足はまっすぐ伸ばして、上半身は後ろ手をついて体を倒すのがポイント。
女性はそのままピストンを始めるが、ここからが鳴門の真骨頂。ピストンの上下運動をしつつ、足を上手に使いながら上半身の向きを左右にねじらせて回転運動も同時に行う。女性はGスポットや裏Gスポット、ポルチオなどの性感帯を不規則に刺激できる。
男性はペニスをねじられながらピストンされることで、亀頭全体を満遍なく刺激される。男性にとっては女性が首をねじりながらフェラチオされるかのような、複雑な快感が楽しめるので、病み付きになりがちだ。
さらに、視覚的にも鳴門のピストンはとても刺激的。男性の視点から、女性が腰をくねらす動作はとても官能的なことこの上ない。
(36)こたつかがり
「こたつがかり」は、座位の一種で、男性が女性に挿入しながらこたつに入る体位だ。日本古来の暖房家具であるこたつの中で行うセックスの体位で、内側からも外側からもポカポカになる、季節感たっぷりの座位の後背位。女性が座った男性の上に股がって、こたつの天板についた手を軸に腰を動かす。みかんを前に2人羽織気分で挑戦してみよう。
こたつの歴史は古く、室町時代から続く日本特有のもの。日本人が慣れ親しんだこたつを使った体位から、昔の日本人にとってセックスが生活の中で行われる自然な行為だったことがうかがえる。
1700年代(江戸時代)の川柳に「炬燵にて 毛雪駄(けせった:女性器のこと)をはく(挿入すること) 面白さ」と詠まれていることから、セックスの体位が体系化された江戸四十八手の時代にはすでに庶民で楽しまれた体位だということがわかる。
娯楽の少ない300年前、こたつで暖をとりながら恋人や夫婦は愛を語らい、その場でお互いを求め合ったのだろう。
「こたつがかり」はこたつに男女の足を入れたまま普通の背面座位を行うシンプルな体位。名前の由来は不明だが、こたつぶとんを掛けて行う形から「こたつがかり」と呼ばれるようになったようだ。
背面座位ではなく、わざわざこたつを使った体位というところに注目。愛する人とこたつの中で足をつつき合っているうちに、気持ちがたかぶってキスをしているうちに、ついついセックスを始めてしまったといったところだろう。つまり「こたつがかり」でセックスする時にこたつが必要なのではなく、こたつの中でセックスが始まってしまうというプロセスが重要なところなのだ。
「こたつがかり」はただの体位ではなく、愛を語らい、スキンシップから始まるセックスへの期待、こたつで暖をとりながらも二人の体温を交換する一連の流れこそ本来の「こたつがかり」と言える。
そのため、ただの背面座位では「こたつがかり」とは言えない。またテーブルクロスを敷いたコーヒーテーブルなどの小さなテーブルでも、こたつの代用とすることはできる。
こたつの中で男性が足を伸ばして、背を向けた女性が男性にまたがって座位の姿勢になる。こたつの中でテレビや映画を楽しみながら、ベッドでしないセックスを楽しみむ。こたつで温まったパートナーの体は欲情の火照りと相まって、熱いセックスになること間違いなしだ。
(37)手懸け
「手懸け」は、「こたつかがり」にもやや似たスタイルの座位。男性が椅子などに腰掛け、女性が男性の上に腰掛けて行うのがポイント。挿入は浅いが、Gスポットに当たりやすい体位で、いつもと違うシチュエーションで楽しむと興奮度もマックスに達する。ベッド以外なら、食卓などでも良い。
「手懸け」の本来の意味は椅子についているレッグレストのこと。他にも「手をかけて愛するもの」と言う意味もある。椅子に座った男性は女性から見て、座り心地が最高の椅子そのもの。男性から見れば、自分に座った女性は手をかけて愛すべき存在ということになる。セックスの姿勢と想いを、「手懸け」の一言で見事に表現した、卓越したネームセンスが窺える。
手懸けは女性の体が男性に密着し、男性にたっぷり愛撫してもらえる体位。そしてピストンの主導権は女性に。手懸けの姿勢で男性に腰掛ければ、どんな椅子よりも最高の座り心地に。男性も椅子に座ってリラックス。女性の背後から手を伸ばし、女性の柔らかい肌とピストンを楽しもう。
男性が椅子に座って、女性が男性に背を向けてまたがって挿入すれば「手懸け」の姿勢になる。「手懸け」には2通りの姿勢があって、それぞれ特色がある。
1つ目は男性が足を開き、女性が足を閉じて挿入する形。男性は足を開くことで挿入しやすく、女性は足を閉じているので膣の締まりが良くなる。女性はお尻を男性に落とすイメージでピストンする。女性が前傾姿勢になればピストンがしやすくなる。
2つ目は男性が足を閉じ、女性が足を開いてM字開脚になる形。こちらも女性が足を広げることで挿入しやすく、ペニスが膣の奥まで届くようになる。女性は足の力を使って、体を上下に動かしてピストンする。女性は動きやすい姿勢を選んで、男性をここぞとばかりに攻めよう。
「手懸け」は背面座位の姿勢で行う体位ですが、イスの上で男女が向かい合って座位を行うと「抱き地蔵」になる。
(38)浮き橋
「浮き橋」は、後背位の一種。バックの形で挿入してから、そのまま女性は横向けに寝転ぶ。男性が支える手を軸に、お互い腰を前後に動かす。角度の違った腰が動く様子はゆらゆらとしていて、まるで「浮き橋」のように見えるのが名前の由来だ。もちろん前後だけでなく、円や八の字を描いてお互いが擦れあう感触をじっくり味わいたい。
「浮き橋」は足を曲げた女性が横になり、男性が正常位の姿勢でする体位。そのシルエットは正常位のようでもあり、側位のようでもあり、その他のいろいろな体位からでも姿勢をちょっと変えるだけで、違った快感が楽しめる。女性が足を閉じているため、膣圧も高くお互いに快感が強まる。
女性の体が横を向いているので正常位や後背位にはない挿入感が得らる。「浮き橋」から多くの体位にを移行できて、「松葉崩し」との相性も抜群!ラブタイムの中盤に取り入れれば、大きな動きもなくバリエーション豊かな複数の体位を楽しめる。
「浮き橋」は女性の腰を男性が抱きかかえるアクロバティックなやり方で紹介されることがあるが、ペニスと膣口の角度がうまくいけば女性を持ち上げなくても浮き橋を楽しめる。
まず女性が横向きに寝て膝を曲げて、膝を胸に近づける姿勢になる。男性は正座のような姿勢になるが、膝を開いたら女性の太ももを自分の太ももに乗せる。女性は横向きになった上半身のバランスを両手でとりながら、男性は女性の腰を抱えると浮き橋の姿勢になる。
男性は自分の太ももと腕で女性の下半身を支えるため、負担が大きくなりがち。挿入したらゆっくりと女性の腰をベッドに降ろして、そのままピストンができそうなら続けよう。
女性も足の曲げ方や体の向きを工夫して、もっとも挿入感が心地よい姿勢を探す。体を丸めたり、男性に腰ではなく膝を抱えてもらうなど、少しの工夫で二人が一番気持ち良いと思える姿勢がきっと見つかるはずだ。
女性は足を閉じているので、膣に力を込めやすく、ピストンで時々キュッと膣を締め上げると膣圧がさらに高まり、男性に強い快感を与えることができるようになる。
(39)茶臼のばし
「茶臼」とはお茶の葉をすり潰す石臼のこと。粉になった茶葉がこぼれないように、茶臼の下には受け皿がある。この茶臼を横から見たシルエットが騎乗位のように見えることから、四十八手では「茶臼」というと騎乗位をさすようになった。「茶臼のばし」は、騎乗位のバリエーションの一つで、特に強い膣の締まりを感じることのできる体位だ。女性上位で女性が男性の上半身に抱きつくようになり、女性の脚をやや伸ばし気味にして、男性の脚の間に入る。これだと動きづらいのが難点だが、男性には締め付け感を与えられ、テクがあまりない女性、上になるのが恥ずかしい女性にも人気だ。そして何よりもキスをしながら全身の密着感を楽しめるのが最大のポイント。
「茶臼」、つまり騎乗位の状態から女性の脚を伸ばした姿勢が「茶臼のばし」だ。その姿勢になることで得られるメリットとデメリットはさまざまである。
メリットを最大限活かしつつデメリットを克服できれば、騎乗位から手軽に移行できる気持ちいい体位として、セックスがよりバラエティ豊かになる。
「茶臼のばし」はピストン運動がしづらい体位だが、逆に男性が動きやすい「松葉崩し」という体位もある。「松葉崩し」は、「茶臼のばし」から男女の体勢を上下に入れ替えて行う。女性が中イキしやすく、男性が動きやすいのが特徴である。
「茶臼のばし」のやり方はとても簡単だ。まず騎乗位の姿勢になって、ペニスを挿入したまま女性が体を前に倒す。男性と体を密着させたら、今度は両脚を伸ばすと「茶臼のばし」の姿勢になる。高まる鼓動をお互い感じ取れるほど、体が密着するので安心感や幸福感に包まれるのが特徴だ。
(40)流鏑馬
「流鏑馬」とは、乗馬しながら的に矢を射る日本の伝統行事。疾走する馬にまたがり、鏑矢を放つ武士の姿はとても凛々しい。四十八手の「流鏑馬」も馬に股がる姿勢の騎乗位こと女性上位の1つ。さらに、男性の首にヒモを巻き付けながらインサートするのが特徴の体位だ。ちょっぴり男性を服従させる気分で、腰とヒモを使うのがお楽しみのコツ。特に、サディストな女性にとっては、男性の後ろ首に通した手綱で男性を支配できて魅力的。マゾヒストな男性にとっては、疾走する馬というよりも、女性の性的調教を受ける種馬。女性からのアブノーマルな刺激にゾクゾク感が止まらないことだろう。ただし、巻き付けるヒモはやわらかいバスローブなどがお薦めだ。
「流鏑馬」の姿勢は騎乗位と同じ。1本の縄を準備して、男性の首の後ろに通して両手で縄を握れば「流鏑馬」の完成。本物の乗馬のようにしっかり手綱を握って、女性が積極的に腰を動かして男性を攻めよう。この縄を使って、激しく勢いのあるピストンができたり、男性の首や頭を女性に向けさせるような、ちょっぴり乱暴な使い方をしたり、楽しみ方はいろいろ。
激しく腰を動かせば、お互いに気持ち良くなれるだけではなく、女性は男性を支配するサディズム、男性は女性にコントロールされることでマゾヒズムが実感できるはず。
(41)時雨茶臼
「時雨」とは、秋に降る気まぐれな雨のこと。ことわざに「女心と秋の空」とあるように、男性から見れば女性主導の「時雨茶臼」の攻めは気まぐれに感じたのかもしれない。「時雨茶臼」の「時雨」が何を指しているかというと、結合部に見える愛液のこと。秋時雨を降らすのは女性の快感しだい。江戸っ子らしい粋なネーミングセンスである。「時雨茶臼」は、女性上位、騎乗位と言われる体位で、対面騎乗位のことだ。騎乗位は男性から見ると女性の体のほとんどを眺めることができる体位。男性は視覚的に興奮する生き物なので、騎乗位のような視覚的エロスは男性の欲情をかきたてる重要な要素となる。女性にとってはとても恥ずかしいが、男性にとっては「時雨茶臼」で挿入する瞬間とピストンしている様子を眺めることはセックスの悦びの一つ。ただの騎乗位ではなく「時雨茶臼」をするなら、あなたの上半身から結合部までを男性にしっかりみてもらいつつ、たっぷりと時雨(愛液)を男性に降らせよう。
男性が下から突き上げてもよし、女性が上下左右前後に動かしてもよし、のスタイルだが、やはり女性の動きが、時雨になるか台風になるかを分けることだろう。男性を喜ばせるためにも、腰を上下にするピストン運動をぜひ試してみよう。
本来の「時雨茶臼」をするなら、前戯やセックスでしっかり感じて膣をよく濡らしてからにしよう。男性の顔にまたがってクンニリングスをする「岩清水」でたっぷり愛撫をしてもらえば、女性の愛液と男性の唾液で「時雨茶臼」の準備は万端に調った。「岩清水」からなら、女性が男性の顔から腰へ移動するだけなのでスマートに始められる。
「時雨茶臼」と普通の騎乗位の違いは、結合部をあえて見せて、男性に視覚的な興奮を与えられるかどうか。「時雨茶臼」にチャレンジする場合はデリケートゾーン、特にアンダーヘアケアのお手入れは入念に。アンダーヘアがしっかりケアされていればデリケートゾーンも清潔に見える。
対面騎乗位である「時雨茶臼」ととても似た四十八手に「百閉」がある。絵にするとそっくりだが、「時雨茶臼」と「百閉」は挿入やピストンのアプローチが違う。「百閉」は女性が前傾姿勢になり、ピストンの際に腰を男性の恥骨に打ち付けるイメージでアプローチするのに対して、「時雨茶臼」は女性が男性に対して垂直になり、女性のお尻を男性の腰に打ち付けるイメージでアプローチする。
(41-2)百閉
「百閉」は、「時雨茶臼」と見た目がほとんど同じ騎乗位の姿勢。どちらも女性に主導権があるが、ピストンのアプローチにその違いがあります。
「時雨茶臼」は女性が男性に対して垂直になり、女性のお尻を男性の腰に打ち付けるイメージでアプローチ。男性から結合部がよく見えて、ピストンのたびに愛液が糸を引く様子を時雨に見立てたことが由来だ。女性は全身を上下させてピストンするので、素早い動きができない。その代わり、男性はあらわになった結合部や女性の体のほとんどを見渡せるので、視覚的エロスの強い体位になる。
「百閉」は女性が前傾姿勢になり、ピストンのときに腰を男性に打ち付けるイメージでアプローチ。「時雨茶臼」とは違って、女性は腰だけを上下にピストンさせたり、前後にスライドさせてペニスの挿入感を楽しむ。
「百閉」と「時雨茶臼」では、「百閉」の方がピストンのしやすさで優れていて、女性が思う存分に乱れることができる体位といえる。女性上位(騎乗位)のノーマルバリエーション。気持ちのいい場所を自分で見つけながら動けるのが女性側のメリット。女性が腰を動かしながら、自分で自分の気持ちいい場所を探そう。イキにくい女性は、男性がクリを触ってあげるなどすると達しやすくなる。また、女性の動きにあわせて下から突き上げれば一体感も味わえる幸せたっぷりの体位に変身する。
(42)宝船
「宝船」は、騎乗位の一つ。「松葉崩し」を女性上位にしたもの。別名「クロスボンバー」ともいう。男性にまたがった女性が男性を激しく攻めつつも、自分も挿入以外の快感を同時に得られる体位。
「宝船」は七福神が乗っている帆船のことを言うが、深い快感という「宝物」をどっさりのせた船を男性に見立て、女性が推進力を生み出す帆になって行う。
仰向けになった男性の片足を抱き上げて、帆のように立て、それを支柱に女性は腰を動かして。体を足に密着させることで、クリトリスへの刺激も期待でき、快感はお宝並み。女性が男性の脚を抱きかかえることがポイント。
「宝船」は騎乗位の一種だが、その姿勢はちょっと複雑。女性は、男性に対して横向きになって、男性の片足を手で抱え持つという変わった姿勢だが、そこから生み出される効果は女性にとって嬉しいものばかり。男性は片足を上げているため、通常の騎乗位よりも深く挿入でき、女性は男性の太ももにクリトリスを擦り付けるイメージでピストンをすれば、外イキと中イキの両方にチャレンジできる。女性上位で主導権を握れる「宝船」では、女性が積極的に快感を追求することで、結果的に男性を刺激することにつながる。
また、「宝船」の体勢を男女で入れ替えて、男性上位にした体位として「松葉崩し」がある。「松葉崩し」は「宝船」と同じで、中イキしやすく人気の高い性交体位である。
男性が仰向けで横になり、足を肩幅くらいに広げる。女性は男性に対して体を斜めに向けて、男性の股の間で両ヒザ立ちになる。次に片手で、自分の体が向いている方の男性の片足を持ち上げる。男性の顔から近い方の足を、男性の脇の間あたりをめがけて足を伸ばす。そのまま腰を下ろしてペニスを挿入すれば「宝船」の姿勢になる。ポールダンスのポールを男性の片足に見立てて、男性の体に対して斜めを向いてしゃがみこんで挿入するイメージだ。これが「宝船」の基本姿勢だが、このままでは足を置く位置や曲げ方を工夫しなければピストンがしにくい。姿勢が複雑なだけに自分が一番動きやすいピストンができる姿勢を探すところから「宝船」が始まるともいえる。
例えば、「女性は足で立ってM字開脚の姿勢になる」「男性の足を手で抱えず、自分の太ももの上に乗せる」「女性は男性の片足を太ももで挟むようにする」「男性のあげた足を垂直に立ててみる」「男性のあげた足のヒザを曲げてみる」などがある。他にも体を少し倒してみたり、体をひねってみるとピストンがやりやすくなったり、挿入感が増したりと変化があるので、自分がやりやすい姿勢を見つけてみよう。
(43)御所車
「御所車」とは天皇や貴族を乗せた牛車のこと。馬車とは違って、のっそりとゆっくりと車輪がまわるところがポイント。四十八手の中でダントツ遊び心のある体位といわれる。なぜなら、四十八手の「御所車」は騎乗位の姿勢になった女性が、男性の上を回転するコミカルな体位だから。 「御所車」は、仰向けに寝転んだ男性の上に女性が乗り、女性上位になって男性器を中心軸に、女性がクルクルとまわるスタイル。別名に、「ナイアガラの滝落とし」「花時計」のほか、大阪方面では「タケコプター」なんて呼ばれている。女性にとっては、カラダの運動神経&器用な腰使いが、ウンと求められるキツーい運動会である。
「御所車」は、他にはない特殊な体位だが、その発想の面白さには感銘すら覚える。というのも、「試しにこんなことしてみようよ!」といった好奇心や、「こんなやり方なら面白いよね!」といったチャレンジ精神が刺激される体位である。普通のセックスが愛のコミュニケーションだとすれば、御所車は仲の良い男女の談笑といった所だ。セックスは快楽であり、心と体のコミュニケーションでもある。「御所車」を実践すると快楽よりも、心と体のコミュニケーションが深まるはずだ。心と体のコミュニケーションとは言ってもロマンティック、エロティックな雰囲気で男女の愛を深め合うようなものではなく、ちょっと気分を変えて、セックスの中に笑いを取り入れるときの最適な手段になるようなものである。
そのやり方は、騎乗位の姿勢になったら、挿入されたペニスを軸に女性が手足を上手に使いながら、時計のようにクルクル回転すると「御所車」の状態になる。右回りでも左回りでも構わず、騎乗位の姿勢で回転できればよい。
(44)立ち鼎
「鼎」とは、古代中国から祭事用に使われた鍋のことで、日本でもお寺の参道に大きな三つ足の鍋にたくさんのお線香が添えられているのを現代でも見ることができる。
四十八手の「立ち鼎」は文字通り立位で行う体位。男女が向かい合う姿勢から「対面立位」の一つでもある。両足立ちの男性と片足立ちの女性が向かい合い、3本足になっているシルエットから「立ち鼎」と言われるようになったようだ。「駅弁」と言われる体位にも似ている。男性が一本足で立つ女性の腰をしっかり支えることが転ばずに完遂させるコツ。難易度の高い体位ですが、場所を気にしなくていいので、どこでも出来る。キッチンや浴室などベッド以外の場所ですると気分が盛り上がる。
四十八手の立位には「後ろ櫓」とこの「立ち鼎」の2種があって、「後ろ櫓」が背面立位なのに対して「立ち鼎」が対面立位という違いがある。
立位といえば場所をとらず、狭い場所でもセックスが楽しめる体位。二人の求め合う気持ちが抑えきれず、焦燥感から場所を選ばずセックスをしてしまう。そんなシチュエーションに「立ち鼎」は重宝する。
男女が玄関に入るやいなや、激しくキスして、急かされているかのようにシャツやブラウスのボタンを解いていく、男性はベルトを緩めてズボンを下げて、女性のスカートの中に手を伸ばしたらショーツを脱がして、さっそく挿入。こんなシーンで用いられる体位が「立ち鼎」である。
立ったまま始まるラブタイムはベッドにはない魅力がたくさん。壁ドンから抱きしめあったり、濃厚なキスに発展すれば、その場でお互いを求め合うのは自然な成り行き。女性がしゃがめばフェラチオ、男性がしゃがめばクンニリングスといった具合で、「早く一つになりたい!」そんな気持ちを「立ち鼎」は叶えてくれる。
男女がお互いに向かい合って立った状態から、男性が女性の片足を持ち上げて、挿入すれば「立ち鼎」の姿勢になる。片足を上げることで挿入とピストンがしやすくなり、奥まで挿入できるようになる。片足立ちになった女性は、両手を男性の首の後ろに回してバランスを取ろう。男性は女性のヒザの裏を抱えるように持つと、持ちやすく姿勢を維持しやすくなる。
(45)菊一文字
「菊一文字」は側位の一種で、元々は「一文字」と呼ばれていた。肛姦(アナルセックス)でも使われる体位だったため、菊の花を肛門に見立てて「菊一文字」と言われるようになったという。
「菊一文字」とは、もともと鎌倉初期に活躍した刀鍛冶の名工の名前。「菊一文字」でまぐわう男女を上から見たシルエットは、女性の上半身が刀身、男性が刀を構える侍のように見える。バレリーナ並みに広げられた女性の足を前にして、男性は横向けに「一」の字になりせっせと責める「菊一文字」。交叉男性側臥女性仰伏臥位とも言われている。こぼれ松葉から変化したかなり激しい体位だ。女性が羞恥心を感じ、さらに男性の腰の動きに合わせて、腰をくねらすことで、今までにない快感を感じれる。
「菊一文字」はまず、女性が可能な限り大きく足を開脚させる。女性の上半身は少し起こして、後ろに手やヒジをついてバランスをとる。男性は開脚した女性の両脚と平行になるように横たわり、そのまま挿入すれば菊一文字の姿勢になる。女性の体の柔軟性が強く求められるが、そのぶんメリットはたくさんあって、色々な体位から移行できる手軽さに加えて、男性も腰を動かしやすく、深い挿入が得られる。さらに男性は両手が空くので、クリトリスや乳首をピストンと同時に刺激できる万能型の体位だ。
「菊一文字」は女性が大きく開脚するので、男性から女性のデリケートゾーンがはっきり見えて刺激的。男性は片ヒジをついて体を少し起こせば、さらに女性のデリケートゾーンがよく見えるようになり、もう一方の片手で女性を愛撫しやすくなる。
(46)ぞり
「撞木」とは鐘を叩く時に使うT字型のカナヅチのような道具のこと。両目が飛び出ていて水族館でおなじみシュモクザメもこの撞木に由来してる。「橦木反り」は背面騎乗位の変化形で、とてもアクロバティックな体位だ。
男性が仰向けで横たわり、女性がまたがる騎乗位のシルエットを撞木に見立てて、女性が後ろに反り返った姿は、撞木の柄が反っている形に見えることから「撞木反り」と名付けられたと考えられる。
それだけではなく、実は相撲の決まり手にも「橦木反り」がある。相撲の橦木反りは、相手の懐に入って横向きになるように肩で担ぎ上げて、そのまま後ろ側に倒す技だ。技の難易度が高いのが特徴で、相撲の公式試合でもほとんど使われたことはない。
「相撲の橦木反り」と「四十八手の橦木反り」は、上級者向けの技であるという点が共通している。「四十八手の橦木反り」は体勢的に挿入が浅くなるので、「男性器の長さ」と「動き方」が重要である。
「撞木ぞり」は、仰向けになった男性の上に、女性が背中を向けてまたがり挿入します。そのまま足を大きく開いて、鏡を向かいにHをすれば、「撞木ぞり」で繋がりあっている部分がバッチリと見えて興奮度は最高潮となる。
「撞木反り」はまず、女性が男性に背を向けて挿入する背面騎乗位の姿勢になり、女性の下半身はM字開脚の状態になる。そこから女性が男性の方に向かって体を倒し、両ヒジで上半身を支える。男性は女性の背中や肩を両手で支えてサポートする。男性の足をまっすぐ伸ばせば「撞木反り」の姿勢になる。
(47)窓の月
四十八手の命名は体位のシルエットを何かに見立てて名付けられたものが多いが、「窓の月」はとてもロマンチックで幻想的な情景に由来した側位の体位のバリエーションの一つだ。
宵闇の中、窓から差し込む一筋の月光。月光に青白く照らされた江戸時代の男女は寄り添いながら、月を眺めて愛を深めたのであろう。窓の月は、横向きに寝た女性を男性が後ろからそっと抱きしめて挿入する体位。男女が同じ方向を向くことで、窓から見える夜空に浮かぶ月を眺められることから「窓の月」と呼ばれるようになったということだ。しかし、男女ともに横向きに寝ている状態なので挿入とピストンがしにくい体位で、「窓の月」の魅力はセックスそのものの快感とは別の所にある。
横になり、体のほとんどが密着できる体位なので、たっぷり愛情を実感できるはず。幸福感、安心感で心が満たされ、温かい気持ちになれば「窓の月」は成功といえる。
女性の片足を持ち上げコントロールすると奥深さだけでなく角度も楽しめ、差し込んだ男性の足がクリトリスをも刺激する。
静寂の夜空に浮かぶ月と同じように、「窓の月」は男女がリラックスできる横寝をしながら楽しめる体位だけに、男性が激しく女性を刺激するのは野暮というもの。男性はゆっくりピストンしてスローセックスを心がけよう。あくまでも後ろから女性を包み込むように優しく抱き寄せる。鼻腔をくすぐる女性の甘い髪の香りを楽しみながら、女性と同じ景色を楽しむのが「窓の月」の正しい楽しみ方。
情熱的なセックスの快感は他の体位に任せて、「窓の月」では女性の心と体をリラックスさせることを男性は心がけよう。
(48)理非知らず
「理非知らず」の「理非」とは、「道理にかなっていることとかなっていないこと」と言う意味で、「理非知らず」は「道理のあるなしなんて関係ない」と言う意味になる。つまり「アブノーマルなこと」と言う意味である。
その名の通り、「理非知らず」は手足を縄を使った体位である。女性の両手、両腿を縛る緊縛プレイが「理非知らず」ということになる。主導権はすべて男性にあり、2人の間には愛と信頼が必須である。もちろん縛るので、無理強いは禁物。より深く性を探訪したいカップルが新たな世界に挑むときに選ばれる体位だ。男性は征服欲を、女性は隷属感を味わえる。
江戸時代から女性の手足などを縛って、自由を奪ってセックスするソフトSMがあったこと、そして拘束プレイがアブノーマルと捉えられていたことを考えると、今も昔もあまり変わりない。
「理非知らず」は緊縛プレイと言っても、セックスの初心者でも簡単に楽しめるソフトなもの似すぎない。
四十八手には、「理非知らず」のような縄を使ったプレイの他に「首引き恋慕」、「流鏑馬」、「達磨返し」の3つがある。「理非知らず」は女性の両手首と両ヒザを縄で縛った状態で、正常位でするものである。 男性は体の自由を奪った女性を攻める加虐的な興奮を持つことが出来、支配欲が満たされるサディスト向きの体位といえる。また女性の両手首を縛るので、胸の谷間ができやすく、視覚的なエロスも楽しめる。さらに両ヒザも縛るので、脚が閉じることで膣圧が高まり、ピストン時の快感も強くなる。
女性は両手足を縛られ、自由を失うことで男性になすがまま攻められるので、マゾヒスト向きの体位。男性と同様に両ヒザを縛ることで膣圧が高まり、膣内の感度が高まる。逆に言えば女性がサディストの場合、自尊心が深く傷つくので「理非知らず」は避けた方が良い。