受精について

受精により人苑の生命が新たに誕生することとなる。その受精には、自然妊娠と体外受精とに大きく二分される。ここでは自然妊娠の仕組みをみる。ただし、体外受精は人工的な受精とは言え、妊娠の過程のうち受精だけを女性の体の外で行うだけで、あとは自然妊娠と同じである。

  受精すると、妊娠となるが、一般に妊娠初期というのは13週6日までの期間をさす。そしてこのうちの妊娠2週〜3週までの期間を「妊娠超初期」と呼ぶことがある。これは医療・医学の専門用語ではないが、この期間は、卵子と精子が受精し着床する期間にあたり、そのため妊娠が確認できない期間である。

1.精子の質や仕組みについて

 精子は、精巣(睾丸)の中にある精細管と呼ばれる非常に細い管の中で精祖細胞から、精母細胞、精子細胞を経て72~74日間かけて作られる。1個の精巣の精細管をのばすと約540mぐらいになる。精子は精巣内で作られた後、精巣の横にある精巣上体(副睾丸)を約5~10日間かけて通り、さまざまな分子レベルでの修飾を受け成熟精子となって精巣上体尾部にたまっている。

 射精をする時は、精子は精管を通り、精嚢や前立腺の分泌液とともに外に射精さる。つまり、約3ヶ月前に作られ始めた精子が現在射精されていることになる。 射精された精液のうち精子はわずか1%で、残る99%は精漿(精嚢や前立腺の分泌液)でできている。

2.排卵や卵子の寿命など仕組みについて

 一方卵子は、精子が精祖細胞から作られるのに対し、自分が胎児だった時(お母さんのお腹にいた時)に、卵祖細胞から卵母細胞が作られ、原始卵胞として卵巣内に保存されている。思春期になると卵子は目覚め、一次卵胞、二次卵胞を経て排卵にいたる。

 この二次卵胞の発育には約85日間かかりるが、最終的な発育の部分は、鼻の奥にある下垂体から分泌される主にFSH(卵胞刺激ホルモン)によって発育し、卵胞の中にある顆粒膜細胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌され、そのエストロゲンの影響で子宮内膜は着床に備えて厚くなる。

 さらにエストロゲンの分泌量が多くなると、下垂体からLH(黄体化ホルモン)がスパイク状に大量に分泌されて、卵巣の表面に穴があき卵子は卵胞液とともに排卵する。卵子は卵管采で捕獲される。

 排卵中、卵管采は卵巣の表面を心拍数とほぼ同じスピードで掃くような動きをして卵を捕獲し、卵管上皮の線毛運動によって卵管内に取り込まれる。

3.女性ホルモンの流れ

 女性ホルモンは、左図の①~⑨のような活動を起こす。そして排卵日付近になると、女性の子宮頚管から頚管粘液と呼ばれる水っぽい分泌液が分泌される。これは、精子が子宮頚管を通過するのを助ける。排卵日付近の子宮では、子宮内膜が蠕動運動している。子宮自身も精子を吸い上げるようなスポイド作用をもっている。

 精子は、子宮腔、卵管を通った後、卵管膨大部で卵子が卵巣から排卵されてくるのを待っている。正常な男性では、1回の射精で、約1億匹から2億匹の精子が膣内に射精されるが、最終的に卵管膨大部まで進める精子は片側の卵管で約100匹程度といわれている。

4,妊娠や着床について

 精子は、卵管膨大部で卵子と出会う。排卵された卵子は卵丘細胞で覆われているが、卵丘細胞は精子の先体部にある酵素(ヒアルノニターゼ)と卵管粘膜より分泌される酵素両者の働きで分散する。次に透明帯を精子の頭部にある酵素(アクロシン)で溶かした後、精子頭部が卵細胞膜に到達する。一匹の精子が卵細胞膜に接触すると、透明帯は性状が変わり、他の精子が貫通できなくなる。

 精子頭部は最初は垂直に卵細胞膜に接しているが、すぐに水平に接触し、卵細胞質膜との融合は精子の赤道部の細胞膜からおこる。精子は卵細胞質に入ると、精子核を包んでいる核膜が消失し、核は膨化を開始し、膨化した核には再び核膜が現れて、雄性前核になる。この間に卵からは第二極体が放出されて雌性前核ができる。この時点で受精は終了する。

 受精卵のことを胚と呼ぶ。胚は卵管内で分割を繰り返し、2細胞期胚、4細胞期胚、8細胞期胚、桑実胚、胚盤胞になった後、子宮腔内に移動し、排卵後約7日後に子宮内膜に着床する。

1.妊娠のしくみ

 生命は、女性の「卵子」と男性の「精子」が出会って妊娠することから始まる。そのしくみは、次の通りである。

① 排卵

 卵子を含む卵胞は、月経周期に合わせて成長し、直径20mmほどの大きさに育つと卵子として卵巣から放出される。これを排卵と呼ぶ。放出された卵子は卵管に取り込まれ、精子との出会いを待つ。受精しなかった場合の卵子の寿命は、排卵後約24時間といわれている。

② 射精

 性交により射精された精子は腟、子宮頸管(けいかん)、子宮から卵管へ進み、排卵された卵子を待つ。通常、1回の射精で1億個以上もの精子が放出されるが、その中で卵管までたどりつけるのはほんの100匹程度といわれている。射精後の精子の寿命は3日間だという。

③ 受精

 卵子と精子が出会い、融合することを受精と呼ぶ。卵子と結びつくことができる精子はたった1つだ。1つの精子が卵子に入り込むと、他の精子は入ることができなくなる。受精卵は、細胞分裂をくり返しながら4~6日をかけて卵管から子宮に移動する。

④ 着床

 子宮内へ到着した受精卵が7日目位に子宮内膜にもぐりこむことを着床と呼ぶ。このとき、子宮内膜は受精卵が着床できるように、ふわふわのベッドのように厚くなる。受精卵ができてからおおよそ12日後に着床が完了し、妊娠が成立する。

 その後、順調に受精卵が成長すれば、着床開始後10日前後で妊娠の反応が出る。