気まぐれ草子

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感謝の気持ちを伝える難しさ

いつの世も礼儀や仁義というのは難しい点がある。丁寧すぎる御礼は、返って相手を恐縮させてしまうこともある。御礼の槍吊りが繰り返されてしまい、双方にとって負担になってしまうこともあるかもしれない。かといって、挨拶なしというのも気が引ける。きちん...
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芥川龍之介 桃太郎を読む

一 むかし、むかし、大むかし、ある深い山の奥に大きい桃の木が一本あった。大きいとだけではいい足りないかも知れない。この桃の枝は雲の上にひろがり、この桃の根は大地の底の黄泉の国にさえ及んでいた。何でも天地開闢の頃おい、伊弉諾の尊みことは黄最津...
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芥川龍之介 猿蟹合戦を読む

かにの握り飯を奪った猿はとうとう蟹に仇を取られた。蟹は臼、蜂、卵と共に、怨敵の猿を殺したのである。――その話はいまさらしないでも好い。ただ猿を仕止めた後のち、蟹を始め同志のものはどう云う運命に逢着したか、それを話すことは必要である。なぜと云...
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天国と地獄の話

天国と地獄の話はじめに 「天国と地獄」は、誰も経験したことのない死後の世界の話として、怖れられ、語り継がれてきた。誰も本当のことは分からないからこそ、さまざまに語り継がれてきた。全く正反対にすら見えるほどの、極端な違いがある場合が少なくない...
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ぼくの終活

はじめに 「終活」というのが流行っているらしい。「就活」ではなく、「終活」だ。同音異義語があると案外普及も容易になりがちだ。 終活というのは、「よりよい最期を迎えるための準備を行う大切な活動のこと」で、「残された家族の負担を減らし」「自分の...
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情けは人のためならず

はじめに 案外気づかずに、常識のように罷り通ってしまっている誤解というのは、結構あるものだ。かつて「マンション」が話題になったことがあった。大学の入試問題にもなったと聞いたことがある。「マンション」の意味を説明しろという問題だ。普通は「高級...
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教師が、偉くなってはいけない理由

はじめに 遙か以前に既に定年退職をして、未だに働いているぼくには、将来などということばは無縁なのですが、自分なりに学校を卒業して「新社会人」として出発する時期が誰にでもあるものです。上級学校に進学するときよりも遙かに大きな期待と不安の入り交...